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AIを使った攻撃Microsoftによる実被害の報告

Microsoft、AIでメールを分析する犯罪サービス「EvilTokens」を妨害―情報窃取となりすましに注意

2026年9月公表。メールの不正取得とAIによる分析を組み合わせた攻撃を解説。正規の認証画面でも、誰のアクセスを許可しているかが重要です。

元報告:2026-09-22 / 公開・最終確認:2026-10-15
Codingholic 編集部 · 約5分

Microsoftは2026年9月22日、メールアカウントへの不正アクセスとAIによる分析を組み合わせた犯罪サービス「EvilTokens」の活動を妨害したと発表しました。同社によると、世界の1万超の組織、1万2,000超の受信箱への侵害と関連していたといいます。

この事案で注目したいのは、侵入した後のAIの使われ方です。攻撃者はメールから取引関係や支払いの承認者を把握し、なりすましに利用していました。メールが読まれる被害に加え、そこに書かれた業務の流れが次の攻撃に使われるリスクを示しています。

EvilTokens事案の概要

公表日
2026年9月22日(Microsoft)
公表された規模
世界の1万超の組織、1万2,000超の受信箱への侵害と関連
侵入の入口
正規のデバイスコード認証を悪用したフィッシング
AIの役割
侵害したメールの分析、取引関係の把握、なりすましの準備

正規のログイン画面で、攻撃者のアクセスを認めてしまう

EvilTokensは、別の端末に表示されたコードをブラウザで入力する「デバイスコード認証」を悪用していました。Microsoftの技術報告では、利用者が誘導されたコードを公式の認証画面に入力することで、攻撃者側のセッションを許可する流れが説明されています。

利用者にとって難しいのは、表示されているログイン画面が本物でも、承認しようとしている操作の依頼元まで正しいとは限らない点です。URLの確認に加え、「どの端末やアプリを使うために、自分が始めた認証なのか」を確かめる必要があります。

AIでメールを読み解き、支払いに関わる人物を探す

Microsoftによると、EvilTokensには侵害した受信箱を分析するAI機能がありました。メールの内容から取引関係や支払承認に関わる人物を見つけ、なりすます相手や詐欺の進め方を検討するために使われていました。

たとえば、担当者名や進行中の取引を知っている相手から連絡が来ると、受け手は本物の依頼だと判断しやすくなります。これは本記事で示す業務上のリスクの例であり、特定の被害企業で確認された送金被害を再現したものではありません。

自社が生成AIを業務に導入しているかどうかにかかわらず、業務メールの侵害を起点に影響を受ける可能性があります。対策を考える際は、AIサービスに入力する情報の管理だけでなく、メール自体へのアクセスと、メールを根拠に行う承認業務も対象になります。

パスワード変更後も、不正アクセスが残る場合がある

Microsoftは、取得されたトークンがメールの持ち出しやアクセス維持に使われたと報告しています。認証済みの状態を維持するセッションやトークンへの対応が伴わなければ、パスワードを変更するだけでは十分でない場合があります。

利用者が異変に気づいたときは、パスワードを変更して様子を見るだけで終わらせず、管理者へ知らせることが必要です。セッションを失効させても、発行済みのアクセストークンが直ちに無効になるとは限りません。管理者は公式の対応指針で有効期間やアカウント停止の必要性を確認し、不審な端末登録や受信トレイルールなど、アクセスを維持するための変更がないかを調査します。

企業で見直したい認証と支払承認の運用

この事案を踏まえ、当社では次の3点を確認することを提案します。利用者への注意喚起だけで完結させず、認証を管理する担当者と、支払いを承認する担当者の両方で運用を見直すことが重要です。

認証コードを入力する前の確認

メールやチャットでコード入力を求められた際、利用者が自分で始めた操作かを確かめる手順を共有します。判断できない場合に、操作を中断して問い合わせられる窓口も決めておきます。

不要な認証経路の制限

Microsoftは、業務上不要なデバイスコードフローのブロックを推奨しています。管理者が利用中の機器やアプリを棚卸しし、必要な例外と業務への影響を確認したうえで制限を検討します。

振込先変更の確認方法

依頼メールへの返信だけで承認を完結させず、登録済みの電話番号など、普段から確認している別の連絡経路で照合します。確認を実施した人と承認した人を記録する運用も検討します。

不審な認証を承認した場合は、管理者へ速やかに連絡

身に覚えのない認証を承認した場合は、操作した時刻と誘導メッセージを記録し、管理者へ連絡してください。調査に使えるメールや履歴を、自己判断で削除しないようにします。

管理者は公式の対応指針を参照し、ログの保全、アカウントの一時停止、セッションやトークンの失効、メール設定の調査を進めます。対応には業務への影響もあるため、誰が停止を判断し、誰に連絡するかを事前に決めておくと、発見後の迷いを減らせます。

なお、公表された侵害件数はMicrosoftの観測に基づくもので、すべての組織で同じ情報や金銭が失われたことを意味しません。また、犯罪サービスへの妨害措置によって、すでに持ち出された情報が回収されたとは確認できません。

出典と編集について

Microsoft On the Issues:Disrupting EvilTokens: The AI Chatbot Built for Cybercrime ↗

Microsoft Security Blog:Unmasking EvilTokens — 技術分析と対応指針 ↗

出典の報告と、編集部が提案する点検・対策を分けて記載しています。本記事の点検項目は個別環境の診断結果ではありません。

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